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○○さんが頑張っていても…
真似るなら
“三方よし”は難しい

2月24日

“三方よし”は難しい

クライアントと2回目の打ち合わせ。
“今日決めてくれないかな”
私は自分勝手に考えていた。
2回目で決定が下せるわけがない、そもそもそんないい加減なことはしたくなかったはずじゃないか。

その日は「締め切り日」だったのだ。
同僚は続々と成果を挙げている。言いしれぬ圧力を感じる。
その案件は私にとってとても大きく、その月の他の業績すべてを合算した以上だった。
しかも、私は有無を言わさぬデータを持っていた。

しかし、そのデータはクライアントに優しくない。
クライアントにとっての締め切りはあくまでも年度末である(当然だろう)。
私の締め切り、会社の都合を顧客に優先させるのか?
やりたくない、やりたくない、プライドが悲鳴を上げていた。

クライアントと会い、話すうちに、私の気持ちも晴れてきた。
「修正案を作りまして本日中にお届けします、あと1ヶ月しかありませんから」
締めは1ヶ月後だと宣言できたことに私は安心した。
社会人としてのプライドを守れた、私は会社人にはならなかった。
けれど、そのプライドはぎりぎり守れたものであり、数分前までどんなに危うい状態であったか、自覚している。
クライアントと分かれて私はどっぷりと自己嫌悪に陥った。

プライドを捨て去ろうとしたことにか、
それとも、プライドをかなぐり捨てて業績を求めなかったことにか。
自己嫌悪の原因ははっきりしない。

売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」は人間性を試しているのだ。

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2月12日

真似るなら

1980年代、アメリカは日本企業の強みである集団の力を徹底研究したという。
アメリカ企業にそのままの形で取り入れることができないとわかり、アメリカの強みである個人重視を殺さない形でチームプレイを取り入れた、
その結果アメリカ企業が勢力を盛り返したという。

日本ではバブル崩壊後、「これからは成果主義だ」とアメリカの成果主義をそのままの形で取り入れた企業が多い。
解雇を「リストラ」と呼び変えただけの企業あり。
割り増しの退職金を提示して、有能な人材に見切りを付けられた企業あり。

1企業にとっての最適化を全企業が行うと、業界そのものが衰退する例は多くある。
この頃に卒業を迎えていた年代を丸ごと犠牲にすることによって生じる弊害を、日本政府は予測できなかった。
日本はながらく「経済一流・政治三流」と言われていたが、いくら経済が発展しても逆境にあえばその調整機能(政治)にふさわしいレベルに落ち着くものなのだと思い知らされた。

企業減税が導入されようとしている。
帳尻を合わせるのは当然家計となる。
だが、大変不安なのは、「減らした分どこで増やすか」の議論は聞こえてきても、EU諸国の法人税の低さの前提があまり聞こえてこないことだ。

ヨーロッパ企業の社会的責任は重い。
すなわち、ヨーロッパ企業は政府を通さずに社会に貢献し、家計に富を還元しているのだ。

まさか、またもや前提を無視して一部の条件だけを取り入れようというのではないとは…信じたい。
社会の違いや前提を無視して成果主義を導入した、手痛い失敗の教訓は生かされると…信じたい。
あまりにも大きな犠牲を出して、将来の世代がそのツケを延々と払わされることは、…だんだん減少に向かうのだと信じたい。

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2月3日

○○さんが頑張っていても、私は頑張れません

再就職してけっこう「頑張っている」とか「熱心」と言われる。
もちろん私だけではなく、何人かそう評価される新人がいる。
その中でまったく成果が出ていないのは私一人である。
私は現在を研修期間の延長とみなし、顧客満足度を高めるための試行錯誤中である。
別の人(仮にAさんとする)は成功報酬を求め、より効率の良い仕事をするために日々努力を重ねている。
また別の人(仮にBさんとする)はたまたま理解の深い顧客に恵まれて成果を挙げているものの、自分の顧客の希望をさぐる時間をもててきていないことに不安を感じている。
ベテランの目から見て「頑張っている3人」は「頑張りが成果に反映されているBさん」「がむしゃらに成果を求めるAさん」「要領の悪い鮫島さん」となる。
私が目標をAさんと同じ成功報酬に変えたとしても、成果につながる保障はないのだから、ベテランの評価は当たっているのかもしれないが。
さらにワンクッションおいて、数字だけが報告された場合、「よく頑張っているB」「それなりに頑張っているA」「怠惰な鮫島」ともなりかねない。
(さいわい数字が一人歩きするわけではなさそうだ)

顧客の情報などとっくに持っているベテランは、当然Aさんと同じ価値観を持つ。
すると不思議なことに、私やBさんまでも同じ価値観をもつものと見なされて、アドバイス(Bさんは賞賛)されてしまうのだ。
それ以上にやっかいなことは同じ誤解を管理職がしていることだ。
管理職にとってみれば、「頑張れば報われる」「頑張れば運も味方する」はありがたい実例だが、「頑張っていても結果に結びつくとは限らない」はあまり大声で言いたくないことだろう。

研修にろくに資金も時間も費やさない、労働者を消耗品と見なしがちな現代にあっても、企業に貢献するのはAさんのようなタイプだろうと思う。
ストレートに報酬を求め、そのためのスキルアップを考える。
逆に、スキルを求め報酬は困らない程度で構わない私やBさんは、自分第一なので、企業に貢献するかどうかは運だけによる。
このタイプに「○○さんが頑張っているんだから君も頑張れ」は通用しない。

とはいえ、現代の労働者がおかれた状況はさらに複雑かもしれない。なぜなら、会社の上層部や研修担当は私やBさんのようなタイプを歓迎すると言っているからである。しかし、報酬はAさんタイプに有利に働く。いったいどれが本当なんだ?

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